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イラストレーターYukiの雑記

【インベスターZ第11巻レビュー】読めばきっと、「小さく自営」したくなる。

『インベスターZ』第11巻を読みました!

三田紀房先生の作品は、『ドラゴン桜』『エンゼルバンク』『銀のアンカー』『透明アクセル』と読んできている私。今回も本当に色々な学びが得られる内容でした。ネタバレにならない程度に、内容を紹介していきたいと思います。

 

インベスターZ(11)

 

 概要

11巻は、9話収録されているうち、3話が「さくら母の喫茶店開店計画」編、残り6話が「財前 VS 慎司の勝負」編となっています。投資やFXのことはあまりよく分かっていない私には、前半の「さくら母の喫茶店開店計画」編がより楽しめましたし、とても勉強になりました。

 

 

「小さく自営」のすばらしさ

 前巻は、投資を始めた女子中学生・さくらちゃんのお母さんが「パートをやめて喫茶店の経営を始める」と言い出したところで終わっていました。本巻はその続きからです。

 

コンビニに行けば100円でコーヒーが飲める時代に、すでに大手チェーンが市場を支配している中、個人が小さな喫茶店を経営する。そんなのうまくいくわけないと反対するさくらちゃんや友人たちに、私も同じ気持ちになりました。でも、さくらちゃん母に喫茶店を引き継がせてくれるという現オーナーの次の言葉に、はっとしました。

 

 

「競争なんかしなくていい、繁盛しなくてもいい。行列ができていつも満員なんて御免こうむる」

 

 

これを読んで思い出したのが、『減速して自由に生きる: ダウンシフターズ』に書かれていた、著者である高坂勝さんの生き方です。

減速して自由に生きる: ダウンシフターズ (ちくま文庫)

減速して自由に生きる: ダウンシフターズ (ちくま文庫)

 

 

高坂さんは、30歳で脱サラして飲食店を開業し、その後、飲食店としては異例の週休二日営業にして、「ダウンシフト」しながら必要以上に稼がない自営生活をしている方です。

 

私はこの本を読んだとき、なんて素敵なんだろうと思いました。そして、自営するなら「超人気店の店主」よりも、高坂さんのように「週休二日の店の主」である方が幸せなのではないかと思いました。 作中のオーナーの言葉は、そのとき感じたことを思い出させるものでした。また、オーナーは、次のように続けます。

 

 

「個人商店はね スリム シンプル スロー

この3Sが一番

 

スリムとは極力少人数で低コストであること

シンプルとは扱う品数が最小限であること

そしてスローとはあまり忙しくないこと」

 

 

店を経営するとなると、多くの場合、上記の3Sとは逆に「できるだけ人数を増やし」「品数を多くし、多岐にわたるサービスを提供し」「忙しくなっていく」ことを目指してしまうのではないでしょうか。しかしオーナーは3Sの方針でも経営していけるし、個人商店はそうでなくてはならないと言います。3Sでも経営していけることの根拠、中年女性が一人で飲食業を始めるときに絶対に選ぶべきでない分野、店を満員にしない代わりにどのような状態を目指せばよいか…。オーナーの話はどれも理にかなっていて、説得力があります。

 

 

示唆に富む11巻。中でも一押しは、「組織より個人」の話

他にも盛りだくさんの11巻で繰り広げられる商売・社会に対する洞察は、目から鱗の視点ながらも納得せざるを得ないものばかりです。

 

例えば「日本国民の大多数が3世代サラリーマンになってしまう」事態が進み、自営業の家の子が起業するというサイクルが失われるという指摘は鋭いものでした。しかし作中では、近年ある技術のおかげでその心配はなくなり、むしろ個人商店復活の兆しが見え始めているとされています。その技術が何なのかは、ぜひ本編を読んで確かめていただきたいと思います。

 

多くの鋭い分析と示唆に満ちた第11巻ですが、中でも一番私の心に響いたのは、主人公のライバル・美雪ちゃんの、次の言葉でした。

 

 

「組織より個人の方がやりやすい社会に変化してきてるのよ!」

 

 

私は最近、勤めていた会社を辞めました。これからどうするの?と心配そうに言う人もいますが、私が会社を辞めたのは、「一人になっても、何でもできる。いや、一人になった方が、できることがあるのではないか」という思いがあったからでした。『インベスターZ』第11巻を読んで、その考えは間違っていなかったと感じ、大いに勇気づけられました。

 

 

気になる若き投資家二人の勝負は、手に汗握る展開に!

 後半では、いよいよスタートした「財前 VS 慎司の勝負」編が繰り広げられます。慎司の大義と、主人公の財前、そして投資部を率いる部長・神代の大義が真っ向からぶつかり合う対決。藤田家の人々や投資部部員らも息を飲んで見守る中、勝負は難しい局面へ…。

 

私はFXのデモ取引だけやったことがあるのですが、ああいった局面で「動くべきか、動かざるべきか?」を判断するのは、実際の取引ならば想像を絶する難しさだろうと思います。財前くんのとった行動には、読んでいてとてもハラハラさせられました。私には絶対にできないことだし、読みながら「何やってるんだ!」と思ってしまいましたが、社会を変えるほどのリーダーとは、あのような行動ができる人なのかもしれません。

 

対決者たちは椅子に座って取引しているだけなのに、スリル満点で、作中の緊張と興奮が伝わってくる今回の勝負。ぜひ手に汗握りながらページをめくる時間をお楽しみください。

 

11巻の後半には、慎司の「日本のヒーローは公務員である」説など、勝負の本筋以外にも興味深い話があります。この「日本のヒーローは水戸黄門、遠山の金さん、ドラマの刑事など公務員であり、対してアメリカのヒーローは民間人である」という指摘、初めて聞いたのですが、下記の本で書かれていることなんですね。

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

投資家が「お金」よりも大切にしていること (星海社新書)

 

 

 以前から読んでみたいと思っていた本なので、読んだらまたレビューを書きたいと思います。

 

 

まとめ:こんな人におすすめ!

 というわけで、日本における個人商店主の未来に関する知見あり、波乱の勝負ありの第11巻、今回も大いに楽しめました。

 

  • 個人店を経営している方、これから経営することを検討している方
  • 「小さく自営」する生活に興味がある方
  • 親も、その親も会社員で、自分もそうなろうとしている就活生
  • 組織に属することに抵抗や違和感を持つ人
  • 手に汗握る知能戦を漫画で読みたい方

 

こんな方には、読んで損はない良作だと思います。未読の方はぜひ!

インベスターZ(11)

インベスターZ(11)

 

 

Yuki