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イラストレーターYukiの雑記

堤未果著『社会の真実の見つけかた』を読んでわかった、タレントのスキャンダルに夢中になってる場合じゃない理由

話題作『政府は必ず嘘をつく(角川新書)』の著者でありジャーナリストの堤未果さんが、若い世代向けに「情報を読み解く力」の大切さについて、柔らかな口調で語った『社会の真実の見つけかた』を読みました。

 

社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)

社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)

 

 

9・11以降のアメリカで取材を続けてきた筆者が「メディアの扇情性」などの問題について豊富な事例を交えながら解説しており、大手メディアによる情報を鵜呑みにすることがいかに危険かということを考えさせられます。

 

例えば、オバマ大統領のノーベル平和賞受賞に対する報道のしかたの、日本と海外の違い。

 

「核なき世界」という言葉を賞賛し、好意的な報道ばかりだった日本のメディアに対し、海外メディアの見方は違っていたそうです。

 

 

アメリカ国内では「受賞は時期が早すぎる」という声が多く、南米やヨーロッパ諸国からは「戦争をしている国の大統領がノーベル賞を取ることの矛盾」が指摘されていた。中国の新聞は、「アフガニスタンに増兵しながらノーベル平和賞」とはっきりと皮肉な見出しをつけている。

 

 

また、メディアが特定のニュース一色になっているときに、本来トップニュースとして扱われるべき重要法案がひっそりと成立する例など、スキャンダル報道の裏に重要ニュースがある事例にも注意を促しています。

 

記憶に新しい、日本の人気男性アイドルグループのメンバーが酔って公園で裸になり、公然わいせつ罪で逮捕された事件。日本中がこのニュース一色になっていたとき、自衛隊の武器使用を自国船だけでなく外国船の保護にまで拡大する「海賊対処法案」が成立していたというのです。

 

本書で紹介されている、ボストン地方紙の編集長が語った次の言葉が印象的です。

 

 

「ワイドショーやスキャンダルは、重要ニュースとセットになって出てくると見るべきでしょう」

「例えばフランスでは9・11のニュースで世界中が騒然となっている間に、政権与党の不祥事をわざと目立たないように小さく報道しています。そんな例は数え上げればきりがありませんが」

 

 

重大ニュースを片っ端から「政府の思惑によるものだ」と疑ってかかるような極端な陰謀論者になるべきではありませんが、重大ニュースや人々が夢中になるような有名人のスキャンダル報道の裏に、それらを「絶好のタイミング」として利用している人物がいるかもしれないという視点を持っておくことは必要だと思いました。

 

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スキャンダルに夢中になって、周りが見えなくなってしまうと・・・

 

 

 

情報に対して受け身でいることや、疑問を持たずにいることの恐ろしさを示す事例は、枚挙に暇がありません。

 

本書を読むと「大衆はメディアから情報を得ているのではなく、メディアが与えたい情報を与えられ、動かされている」ということに何度もはっとさせられ、自省の念に駆られました。

 

本書では、メディアの報道について調査しているNGOのサイトを紹介するなどして、メディアに対して客観的・批判的な視点を持つために個人ができる具体的な取り組みも提案しており、「社会の真実」を見失わずにいたい市民にとって非常に有益な一冊だと思いました。

 

 

社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)

社会の真実の見つけかた (岩波ジュニア新書)

 

 

政府は必ず嘘をつく 増補版 (角川新書)

政府は必ず嘘をつく 増補版 (角川新書)