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イラストレーターYukiの雑記

インベスターZ15巻は面白さシリーズ最高潮。「情と理のバランス」は永遠のテーマだ

先日インベスターZ第15巻が発売されましたので早速読みました。面白すぎて手に汗握りながら一気に読了しました!

 

インベスターZ(15)

インベスターZ(15)

 

 

本巻の内容は主人公・財前くんと藤田家の子息・慎司が投資の腕を競い合う三番勝負の第2回戦。

 

※本記事では「どちらが勝ったのか」のようなストーリーの核心を明かすようなネタバレはありません。が、まだ本作を読んでおらず、これから読むという方は、是非とも先に本作を読むことを強くおすすめします。私自身が事前情報ゼロの状態で本作を読んだときの体験が、「読書」なのに躍動的でダイナミックで壮大で、とても素晴らしく、少しでも事前に内容の説明を読んだ状態で本作を読んでしまうとその素晴らしい興奮が損なわれると思うからです。

 

逆に、「読むかどうか迷っている」「インベスターZがどんな作品なのか知らない」という方には、是非読んで頂きたいです!

 

 

投資三番勝負の2戦目。1敗している慎司にとっては絶対に負けられない戦い。いつものように論理的に機械的に、感情に流されず、成功法則に従って決断・行動すれば、自ずと勝てるはず・・・なのに?

 

今回、インベスターZ、いや、「三田先生作品」自体が、重要な転換点を迎えたというか、「本当に伝えたいこと」を描き始めるフェーズに入ったような気がしました。

 

「感動が大事」「重要なのは人の心を動かすかどうかだ」ということは「ドラゴン桜」の頃から三田作品の根底にあったことで、その意味では転換点というわけではないのですが、個人的な印象としてはやはりどこか「最終的には論理重視なんだろうな」と思っていたところがありました。

 

 

前巻で示された「やはり感情に流されてはいけない」ということ

例えば、本作第14巻で、主人公・財前くんが自分が住む家の値段を調べるエピソードがありました。財前くんのお父さんが土地と建物合わせて3500万円の家に支払う総額は約6000万円。二倍近くにもなる値段をローンで払ってマイホームを買っていることに、財前くんは衝撃を受けます。

 

しかし、お父さんは「支払う額が倍近くになることには驚いたけれど、それは大した問題じゃない」と言います。子どもたちに快適な暮らしをさせたい。6000万円は幸せの値段だ、それは数字じゃなく心の領域だというのです。

 

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流されやすい私は、この時点ではお父さんの言葉に心を動かされそうでした。

 

しかし財前くんは、先輩たちとともに「日本人がマイホームを持つようになったのはいつ頃のことなのか」を調べ始めます。そうして辿り着いた結論は、不動産の取得は戦後に国や企業がある目的のために勧めたこと。戦前はほとんどの日本人が借家住まいだった、ということでした。「ある目的」が何なのかは、ぜひ本作14巻を読んで解き明かしてみてください。

 

この事実に行き着いた財前くんは、お父さんとは違う自分自身の結論を持ちます。

 

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インベスターZ(14)

インベスターZ(14)

 

 

  一見心を動かされそうなお父さんの言葉に対して、「思い出は、持ち家がなければ作れないのか?」「マイホームがなければ、幸せになれないのか?」と問い直してみたからこその結論。実に合理的で、データに基づいていて、説得的です。これこそが三田作品だと思いました。決して感情に流されず、冷静にロジカルに考えて結論を出す。

 

だから、三田作品の根底にある考えは、「結局は感情ではなく論理」なのかと思っていたのです。

 

 

情と理のバランス

でもそれは間違いだということが、15巻を読んでわかりました。大切なのは感情でも論理でもなく、「自分で考えること」です。ライフネット生命の出口治明会長がよくおっしゃる「自分の中で腹落ちしていること」、まさにそのことです。

 

感情と論理のバランスは永遠のテーマです。

 

最高の栄養を含む微生物・ミドリムシを利用して世界から飢餓をなくそうとベンチャー企業を立ち上げた出雲充さんは、著書で「サイエンティフィカリー・コレクトとエモーショナリー・アグリーメントは異なるということを、経営を通して学んだ」と書いていました。

 

ミドリムシはこんなに素晴らしい。世界から飢餓をなくすことができる。大量培養の技術さえ確立できれば、後は飛ぶように売れ、広まっていくはず・・・。そう考えていた出雲さんは、打ちのめされることになります。苦心の末にミドリムシの大量生産が実現したのに、誰も見向きもしてくれなかったからです。そして出雲さんは、「科学的に正しいということと、感情的に賛同できるかどうかということは、別なのだ」ということを知ります。

 

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。――東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」のとてつもない挑戦

 

 

これは科学の分野だけに関することではありません。私も仕事で、このことを痛感する出来事がありました。

 

入職したてだったあるとき、私は「おかしい」と思ったことについて意見を出しました。それは皆が苦しみながら我慢していて、客観的に見れば絶対に改善した方がよいこと。私が提案した通りに変えていけば、皆が幸せになる。受け入れられない理由がない。そう信じていました。

 

けれど、私の意見は全く受け入れられませんでした。色々な理由があったと思います。入りたての私には、周囲からの信頼がまだなかったこと。ずっと続けてきたことを、否定されたような気持ちにもなったのかもしれません。私が言ったことは、筋が通っていて、理にかなっていて、明らかに正しかったけれど、感情的な同意は得られなかったのです。

 

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人に訴えるときは、理詰めでもいけないし、情に訴えるだけでもいけない。どうしたら相手に「腹落ち」してもらえ、頷いてもらえるか・・・。

 

投資において論理や合理性は非常に大事だけれど、人生はそれだけではない。人と人とのインタラクションには必ず感情が関わる。論理的であろうとするあまり陥りがちな、論理を重視するほど感情を軽視してしまうという罠。これに気付かず、「なんでわかってくれないんだ!」と憤っている人は多いのかもしれません。

 

クールでドライ、感情に流されず論理的で合理的というこれまでの印象とは一味違うインベスターZ第15巻。毎度ながら、まるで自己啓発書を読んでいるかのような大満足の内容でした。未読の方は是非とも!!

 

インベスターZ(15)

インベスターZ(15)

 

 

こちらは、以前書いた第11巻のレビューです。

 

yuki222.hatenablog.com